村上春樹作品の中で一番読み返している「世界の終わりとハードボイルド」という作品がある。
特殊な職業についている主人公がある日トラブルに追われ、自分の組織からも背き、敵組織から追われてしまう。もう一方の世界では、壁に囲まれた街に住むことになり「夢読み」として質素であるが満たされた生活を送る。
2つの世界が交互にパートが切り替わる小説であり、一見して共通点のない世界が徐々に繋がっていく。
上記作品の元ネタとなった短編「街とその不確かな壁」は、デビューして間もない頃の作品であり、本人も駄作として今現在でも短編集に収録されていない。それが70歳を過ぎて、再び駄作と評した作品と向き合った。
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