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読書感想など

歴史の影で暗躍する超人たち『完璧な夏の日』/ラヴィ・ティドハー

完璧な夏の日〈上〉 (創元SF文庫)

1932年、突如として世界各地に現われた異能力者たち。ユーバーメンシュ――超人ともヒーローとも呼ばれる彼らは、第二次世界大戦を前に各国の情報機関や軍に徴集され、それぞれの能力を駆使して死闘を繰りひろげた。そして現在。戦時中にイギリスの情報機関に所属していたユーバーメンシュのひとりフォッグは、かつての上司と同僚に呼び出され、過去の回想をはじめる。レニングラードノルマンディ、ベルリン、そしてアウシュヴィッツ……やがてかれらは〈完璧な夏の日〉と呼ばれた少女にまつわる、歴史の陰に隠された事件の真相に迫ってゆく。 

書店で見かけて購入。超能力ものなのでアメコミのように派手な描写で戦闘シーンばかりなのかと思いきや、章ごとがとても短く、いいシーンで意図的に切っている。どのような戦闘、そのような会話をしているのか描写されず想像するしかないがそれも小説の楽しみかもしれない。
 
世界観としては異世界でも未来でもなく、現在と過去の地球。史実に超能力者がいたらという「もしも」の話。X-MENと考えていい。
主人公のフォッグは霧を自由に操り、姿を隠したり人の形に成形して敵と戦う。(といってもほとんど隠れていて諜報がメイン)フォッグの相棒オブリビオンは触れたものを消滅させることが出来る能力者であり、ともにイギリスの部隊に所属している。
 
彼らユーバーメンシュは年をとらない、これはアメコミのヒーロー達ととてもよく似ている。紙面の中の彼らは年をとらずいつまでも能力者として正義と悪で戦争を続けている。アメリカのユーバーメンシュ達が目立つようなコスチュームで活躍しているのもある種アメリカコミックを意識している。それがパロディのようになっていて、それぞれのお国柄に合わせてユーバーメンシュの能力が反映されている面も面白い。