映画『椿三十郎』比較しながら見てみた
以前借りた『用心棒』がとても面白かったので続編にあたる『椿三十郎』を借りてきました。
対比に次ぐ、対比
若い浪士達が汚職を行っている事を直談判しようとするが、罠に引っかかってしまう。
そこに偶然居合わせた三十郎が見兼ねて協力をする。。というのが大筋になります。
舞台
前作ではヤクザが仕切る荒れ果てた宿町でしたが、『椿三十郎』では藩の領地内を舞台にしているため町は整えられとても前作と比べるととても綺麗な舞台になっています。(時代劇ドラマでよくみかける一般的な屋敷など思い浮かべてもらえればと思います)
悪の描きかた
一見して綺麗な舞台が整ってはいるのですが、不正を行っている人間達が蠢めいて三十郎達をどうにか仕留めようと企んでいる。ここでの対比は「オープンになっている悪」と「クローズされた悪」です。前作ではヤクザである事を隠さずに自分たちが悪だという事をオープンにしています。一方本作では不正が発覚すると自分の命が危ういため表舞台に出る事なく悪をクローズします。
女性の台頭
女性に関しては『用心棒』では全くと言っていいほど女性の活躍という物がありませんでした。しかし一転して女性の”根元の強さ”が前面に出ています。決心した女性ほど強い者などいなく、堂々とした振る舞いで時には人の心を動かします。
若い浪士と三十郎
不正を暴こうとする浪士達ですが、これは全くと言っていいほど疑うということを知らない。敵の罠だと疑いもせずに行動をしてしまうので危うい目にあってしまう。そんな彼らを「こいつは怪しいとは思わないかい」と静止する三十郎。
ジャンル
前回の記事で書いた殺陣や喜劇要素についてですが、喜劇については前作以上に明確に盛り込まれて笑わせに来ている。殺陣については人数の面でスケールアップしています。中盤にある数十人対一人の立ち振る舞いは、獣の檻に放り込まれた人間が次々と歯牙にかけられているようで、ラストの一対一の決闘は異常なまでの緊張感が張り詰めている。
ーーといったように『舞台』『人物』『女性』『悪の描きかた』などが作品内でも前作とも対比している造りなっています。しかもそれがプラスの方向に作用している。
こちらも名作と呼ばれる理由がわかるほど惹きつけられる映画でした。