【小説】離陸/絲山秋子
移動と離陸。
生きている限り何かを得て、何かを失う。等価交換ではなく一方的に奪われる事もあれば得る事もある。年数を重ねていけば子は育ち、自分の身丈を超え、やがて働き始める。
長く生きていれば人の死に直面する事もあれば、二度と会わない人もいる。生きている場所、付き合う人が異なれば、かつて良く遊んだ友人や知人の事を忘れてしまう。(考える時間がない)
離陸/絲山秋子 を読んだ。
失踪したかつての恋人の影を追う佐藤。
生きることは不条理の連続であり、出会いと別れは対になってやってくる。誰もが解答のないまま移動を続け、そしていつしか彼らの言う離陸が待っている。
生きることがこの小説には詰まっている。
離陸 (文春文庫) https://www.amazon.co.jp/dp/416790828X/ref=cm_sw_r_cp_api_l6IYzbWW6EA9K
【小説】未必のマクベス/早瀬耕
深夜3時近く、1日かけて本を読み終えた後で小銭を集めて近くのコンビニへと向かう。ドラゴンボールのTシャツにハーフパンツ、少し肌寒いのでカーディガンを羽織った。寝巻きではあるが、こんな時間だしいいだろうという判断の上だ。
歩いているとどこからか話し声が聞こえてくる。留学なのか、集団で働きに来ているのか分からないが近くのある一角では東南アジア、中国、韓国の人たちが住んでいる。すぐ近くを通るとスパイスの様な香りが漂ってくる。彼らも寝付けないのだろうか。
コンビニではラムとコーラを購入。(あいにくダイエットコーラを購入する小銭が足りなかった)正しい作り方も材料も足りなかったが、ラムを少量注いでから氷を幾つか落とし、残りはコーラで埋めていく。マドラーはないので指で回す。一口飲む。甘くて辛い。
『未必のマクベス/早瀬耕』を読んだ。
”未必[みひつ]必ずそうなるものではない、といった表現。”
この言葉の読み方(みつひつ?みっひつ?)も意味も知らず、もう半分のマクベスも読んだことがない。もう一つ加えれば失礼ながらTwitterでフォローしているにも関わらず早瀬耕さんの著作も初めて。全くわたしの知らない事ばかり。そのため途中で切り上げてシェークスピアの『マクベス』を購入しその日のうちに読んだ。
”実現されたらされたで構わない”未必にはその様な意味も持ち合わせてる。主人公の中井という男はマクベスに仕立てられていくが、それに反発せず「マクベスになったらなったで構わない」という人だ。
読んでいる最中、これはどのジャンルに当てはまるのだろうか? と考えていたが、途中からジャンルを気にすることがなくなった。ただその文章に取り囲まれて懐かしさと彼らの初恋に身を寄せていたい。
キューバ・リブレがなくなったので、もう一杯作る。そういえば今日は色々な店を渡り歩いてこの本を読んだな、と無理に自分に関連付けてみたりする。
【小説】サマーバケーションEP/古川日出男
僕は冒険をするために、井の頭公園に来たんです――
20歳をすぎてようやく認められた〈自由行動〉。他人の顔を憶えることができない「僕」は、出会った人と連れ立って、神田川を河口に向かって歩き始める。世界に対する驚きと無垢さに満ちた、再生の物語。