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読書感想など

2016-01-01から1年間の記事一覧

【小説】世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド/村上春樹

2016/1/1読了 年が開ける前の30、31、そして1/1で読み終えた。 忘れているシーンが多く何度も読んでいるにもかかわらず新鮮な気持ちで読んでいた。そして読み直している時に気がついたことがあった。2つのパートは並行して進んでいると思っていたが、「ハー…

【映画】君の名は。

夜の回だったので人も少なく、落ち着いて見ることができた。 なぜここまで観ることを引き延ばしてしまったのか、それは主人公の「瀧」と「三葉」が入れ替わることで互いに恥をかいてしまうシーンがあるのではという不安があったからだ。どうも自分はああいっ…

【映画】ありがとうスーサイド・スクワッド

1年ほど前だろうか、あの衝撃的な新ジョーカーのビジュアルが突如としてネットに流れたのは。 The Suicide Squad wishes you a Happy Anniversary Mr. J! #Joker75 #SuicideSquad @WarnerBrosEnt @DCComics pic.twitter.com/LZXz0x947Q — David Ayer (@David…

【読書】積み本消化計画2016

友人からもらった本や購入した本を毎月消化できるわけもなく、日々積まれていく本達。 本好きにしてみればむしろステータスなのかもしれないが、圧迫される収納、そしてそのしわ寄せを受ける衣服達。しまいには収納から溢れてタワーを形成していく。 という…

上半期のベスト本

今週のお題「2016上半期」 タイトル通り上半期に読んで面白かった本のまとめになります。新刊と既刊で上半期だけで67冊読むことができました。目標にしているわけではないですが100冊は超えそうです。 面白そうな新刊はTwitterなど情報を集めてみるのですが…

ドラック博物館へようこそ『アマニタ・パンセリナ』/中島らも

本書は決して薬物のススメではなく実際の体験(!)を交えた反薬物のススメ隣っている。 数々の薬物・合法ドラッグを疑似体験しているかのような感覚に陥り、そして著者が現在進行形で中毒になっている(本書が出版された当時)薬物など未体験ゾーンが広が…

階級付けされた世界で"偶然"起きる逆転劇『偶然世界』/フィリック・K・ディック

偶然誰かと出会う、偶然探していたものが見つかるなど日常生活において偶然という現象は奇跡よりも多く発生し、奇跡以上に幸福もしくは不幸を呼び起こす。 フィリップ・K・ディックの長編第一昨の本作ではその偶然によって生活が一変し、それに翻弄される人…

広大な森に潜む闇を深く濃い「ドライ・ボーンズ」

アメリカ探偵作家クラブ最優秀新人賞受賞作品が先日ハヤカワ文庫から出版されました。 全く初めての方でしたが最優秀新人賞ということで購入してみました。 ドライ・ボーンズ (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者: トムボウマン,熊井ひろ美 出版社/メーカー: 早…

煮え切らない卵の新たな戦い『マルドゥック・アノニマス』

冲方丁さんのマルドゥックシリーズの最新刊。 これまで発売されたマルドゥックシリーズを読んでいないと理解ができない敷居の高い作品ではなく、最新刊で知りましたという人でも手に取ってもらいたい。本書が面白かった、という人はその後で過去シリーズを…

人類にとって個性とは必要なものなのか『クロニスタ 戦争人類学者』/ 柴田勝家

▼そもそもの始まり 第二回ハヤカワSFコンテスト受賞後の第1作となる本作は大きなスタートを切った勢いをそのままに予想を超える面白さがあった。 きっかけとしては『伊藤計劃トリビュート』の1作として本書の一章が掲載された事にある。率直な感想として『ニ…

生命賛歌に満ちた近未来の日本『あるいは修羅の十億年』/古川日出男

古川日出男さんの新刊は『想像ラジオ』『ムーンナイト・ダイバー』『バカラ』などの作品と同じように震災をテーマにした小説『あるいは修羅の十億年』です。 2026年の近未来日本を舞台に “島”と呼ばれる土地と東京、フランスと複数の人間の視点から語られる…

ビッグブラザー豚さん説『動物農場』/ジョージ・オーウェル

ジョージ・オーウェルの『1984』は人間を支配する方法とそれに悩む主人公の心境がリアルスティックに描いたディストピア小説としてメディアで紹介され、引用されることが多い作品です。 私も読んだことがあったのですが、他作品を知りませんでした。作品が…

歩みは遅いが、確実に進む日常。『かめくん』/北野勇作

北野勇作さんの『かめくん』を読みました。 きっかけは北野勇作さんがtwitter上で行っている【ほぼ百字小説】を目にしたことです。 140文字内に収められた描写にSF的な想像力を掻き立てられ、余韻を残します。 https://twitter.com/yuusakukitano http://tog…

クエンティタランティーノ監督映画『ヘイトフル・エイト』を見てきました。

クエンティタランティーノ監督の最新作『ヘイトフル・エイト』(原文:the hateful eight) 監督の名前にピンと来なくても20代〜30代にかけての世代は『キルビル』で知っている人が多いでしょう。ツッコミどころ満載でバカバカしくもありますが、あのアクショ…

夢の不条理感に脳みそがジンジンする。『パプリカ』/筒井康隆

筒井康隆さんの代表とされる作品『時をかける少女』は細田守監督によってアニメ映画されたことで若い世代にも広く知れ渡り知名度が高く、また最近では『旅のラゴス』が書店でプッシュされている。それにつられてかその他の作品も平置きされるようになり、『…

君は過去を遡れたらヒトラーを殺すかい?『デッド・ゾーン』/スティーブン・キング

事故により5年近く昏睡状態のまま意識を失っていた教師ジョン・スミス。 5年間の眠りがジョニーにもたらしたものは、年をとった両親、母になったかつての恋人セーラ、莫大な入院費用。そして運命とも呪いとも言える能力が彼に備わっていた。 ▼5年間のブラン…

ジャケ買いしてもいいんだよ『私は存在が空気』/中田永一

「百瀬、こっちを向いて」や「くちびるに歌を」の中田永一とカバーイラストを浅野いにおが手がけた超能力+青春短編集。 短編によって能力もキャラクターも変わり、話同士の連続性はないものの単体としてどれも面白みがある。恋愛、暴力、犯罪、コミカル、ハ…

静かに心に染み込んでくる物語『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

アカ、アオ、クロ、シロ。それぞれの名前に色を持つ四人と本作の主人公「多崎つくる」の5人は高校時代の親友グループだった。しかしある日を境に多崎つくる四人から縁を切られてしまう。そして月日は過ぎ去り、30を半ばに差し掛かった多崎つくるは「沙羅」と…