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読書感想など

2017-01-01から1年間の記事一覧

【小説】離陸/絲山秋子

移動と離陸。 生きている限り何かを得て、何かを失う。等価交換ではなく一方的に奪われる事もあれば得る事もある。年数を重ねていけば子は育ち、自分の身丈を超え、やがて働き始める。長く生きていれば人の死に直面する事もあれば、二度と会わない人もいる。…

【小説】未必のマクベス/早瀬耕

深夜3時近く、1日かけて本を読み終えた後で小銭を集めて近くのコンビニへと向かう。ドラゴンボールのTシャツにハーフパンツ、少し肌寒いのでカーディガンを羽織った。寝巻きではあるが、こんな時間だしいいだろうという判断の上だ。 歩いているとどこからか…

【小説】サマーバケーションEP/古川日出男

8月はとうに終わり、9月も半ばになろうとしている。残暑はまだ続いているが、今年は夏そのものを体験したという気持ち良さを感じることができなかった。 平日は朝晩以外は外に出ることなく、激しい太陽の光を浴びる機会に恵まれず。休日も曇りや雨が多いため…

フィリップ・K・ディック短編集など

その日は映画を見るために新宿バルト9へと向かった。 あまり行った事がない映画館だったのでチケット売り場が長蛇になっている事に驚いた。いつも行っている映画館は昼でもそこまで並ぶ事がない。地域差なのか、作品数の差なのか、単純に売り場が狭くてチケ…

【小説】大怪獣記/北野勇作

商店街を歩けば、お惣菜屋さんや豆腐屋さん、金物屋さん、八百屋さん、魚屋さんなどがずらっと並んでいる。 漠然とした商店街のイメージがそれだ。私の田舎には商店街というものがない。あるにはあるが、ないに等しいシャッター街だ。個人店が一箇所に集まっ…

【小説】猫の文学館I: 世界は今、猫のものになる

犬派と猫派ではどちら、という質問に対しては「どちらも」としか回答のしようがない。優柔不断とかそういった事ではなく、子どもの頃に両者ともに生活をしていたからだ。(飼っていた、という言い方にどこか引っかかるので、生活していたなどと言ってみる)…