【半エッセイ】東大夢教授/遠藤秀紀
クレイジージャーニーでも紹介された遺体科学者 遠藤秀紀の「東大夢教授」読んでる。
— えむぜっとえすじー (@MzSg) 2018年11月15日
先生、と呼ばれる事を拒否する氏の身の回りの出来事が綴られているが、まず文章が巧い。
短編小説の様なエピソードが面白い。
暴論にも近い氏の独特な考えが面白い。 pic.twitter.com/OnWbRjT59S
東大の教授である遠藤秀紀氏は動物の遺体を解剖して、まだ知られていない秘密を解き明かす「解剖学者」という肩書を持っている。
動物の遺体、といっても簡単に手に入るものではない。
日本にいる貴重な動物がもし亡くなったとしても必ずしも提供していただけるわけではない。 しかし解剖しなければ明かされない秘密が秘密のままとなってしまう。
逆に提供していただける算段となっても、数百キロもある動物をどのように運ぶのか、それほどまで巨大な動物をどこで解剖するのか、迷っていればみるみるうちに鮮度が落ちる。朝になれば開演となり人の目に触れる可能性がある。
しかもそれが同時多発的に起きたとしたら。。
と、遠藤秀紀氏の日常を日記式で語られる。
動物に関する話だけではなく、大学の拝金主義に唾を吐きつけるような話もあれば、一人の女性を救ったり、猫の死体を片付けたりする。また、筋金入りの電車オタクであり、特撮オタクでもあるため、語り始めたら止まらない。
400ページにも及ぶ本書では様々なジャンルの話が展開される。実は完全なるノンフィクションではなく、真実を織り交ぜたフィクションであるとこがあとがきにて明かされる。しかし、そうだとすれば遠藤秀紀氏は相当なストーリーテラーである。
文章がうまく、構成が変わるため飽きることがない。ある話で登場した人物がいつの間にか一緒に働いていたり、と一冊の連続短編集の顔を持っている。
『16年ぶりの奏でられた長編』零號琴/飛浩隆
零號琴。はて、なんて読むのだろうか。
ぜろごうとらきん。れいごうこと。ぜろとらこと。
答えは零號琴(れいごうきん)だ。
こんなの読めるか!と怒ることもなく手に取る。なにしろSF小説なのだからしょうがない。タイトルでまず「一体どのような内容なのだろうと」と惹きつける必要がある。
では、零號琴とはなにか。一言でいえば曲だ。
特種楽器技芸士のトロムボノクと相棒シェリュバンは惑星〈美縟〉に赴く。そこでは首都全体に配置された古の巨大楽器〈美玉鐘〉の五百年越しの竣工を記念し、全住民参加の假面劇が演じられようとしていた。上演の夜、秘曲〈零號琴〉が暴露する美縟の真実とは? 『グラン・ヴァカンス』以来、16年ぶりの第2長篇
あらすじさんありがとう↑
仮面をかぶり伝記の劇を演じる。伝記とは、いうなれば桃太郎やかぐや姫のようなおとぎ話、古事記と思っていただきたい。
ただそれだけなのだが、脚本を手がけた人物が気が狂ったと思われる本を出してきた。
その宇宙で人気を博したアニメフリギアをマッシュアップしたのだ。
記事冒頭の写真を見ていただきたい。金と黒の重厚なデザインに明朝体のフォント。いかにもハードルが高そうな本に見えると思う。しかし中身は昔ながらというと語弊がありそうだが、12チャンのハチャメチャSFアニメぐらいのノリの軽さ。そこら中にあるパロディの数々はオタクであれば元ネタ探しに夢中になれるだろう。
それくらいライトなものなので構えることなく読んでみてほしい。
ただしそこに含まれる物語は軽くない。
すぐにその綺羅びやかな都市の風景に引き込まれ、同時に奇妙と怖さが入り混じった気持ち悪さを感じるだろう。
美しく、気持ち悪く、謎が巡り、フリギアが舞い、音楽が奏でられる。
のび太的な近未来『キルン・ピープル/デイヴィッド・ブリン』
複製に溢れた世界
複製を作る理由
複製の特徴
複製に意識はあるのか
本作の主人公の職業は探偵