【小説】プラネタリウムの外側/早瀬耕
将来様々なものに組み込まれるであろうAI。人間の暮らしを豊かなものにするとされているが、未だにぴんときていない。
ブルーレイまで購入したブレードランナー2049では主人公Kの欲求に応えて服装を変えたり、励ましてくれるJOYと呼ばれるAIが登場する。KとJOYは互いに愛し合っている。それはプログラムとしてなのか、心が生じたものなのか答えのない問いではあるが
話はそれてしまったが、未必のマクベスの著者である早瀬耕さんの「プラネタリウムの外側」では近くて遠いAIについての連作集である。
自分をトレースさせたAI。
合わせ鏡にうつるあるものを見てしまった学生。
彼氏の死の間際を再現させようとする女学生。
愛してたことさえ忘れてしまう記録の忘却。などなど。
心や恋愛、青春といったストーリーラインに気持ちいいバランスでAIに対する、テクノロジー技術に対する警告や示唆が組み込まれている。単なる技術寄りのSFだけでは門戸が狭いが、青春恋愛ものでもあるので多くの人に読まれてほしい。(実際AIの技術に対して知識のない私でもすんなり読むことができた)
ごく現実に近いSFであって、少し先の未来では「プラネタリウムの外側」はSF扱いされないかもしれない。それ程までに現実的。
そして怖い。果たしてここで描かれていることが、そしてこの現実はプラネタリウムの内側なのか、外側なのか、つい考えてしまう。