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読書感想など

【映画】スパイダーマン:スパイダーバース

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スパイダーマンの作り方
1.放射性を帯びた蜘蛛に噛まれ、能力に目覚める。
2.大切な誰かが亡くなる。
3.運命を受け入れる。
ステップ3で完成だ。

今回のスパイダーマン:スパイダーバースも基本的に同じだ。
蜘蛛に噛まれ、大切な誰かが亡くなり、運命を受け入れるという、スパイダーマン的文法がそこにある。
アメコミはキャラクターを作り上げ、脚本や書き手をストーリーによって変える。時代によってスパイダーマンという表面を残しつつ、中の人間が変わっていく。

実写映画でも
スパイダーマン1~3」
「アメージングスパイダーマン1~2」
スパイダーマン:ホームカミング」とスパイダーマンというファクターはそのままで主人公は全く異なる人物であり、能力も変わる。
ある意味でスパイダーマンは時代時代で変わっていく。無限とも永遠とも言える。

 

ピーター・パーカーの死
その原点とも言えるピーター・パーカーの死から始まるもう一人のスパイダーマンの誕生劇。
そして無限の宇宙で生まれたスパイダーマン達が一つの次元に(意図せずに)集結した。

ピーター・パーカーに替わってマイルズ・モラレスはスパイダーマンに成ろうとする。
その力を持ってしまったが故の定められた運命。それを受け入れ、街を守るには13歳のマイルズにはあまりにも大きすぎる責務であり、未熟過ぎた。
今までの映画ではスパイダーマンの誕生までが前半のピークで後半は悪役との戦いがメインとなっている。
しかし今作では全編にわたって新たなスパイダーマンの誕生までを丁寧に描いている。

 

アニメーション技術にほれぼれ
2Dと3Dとも見えるCGアニメーションはいままで見たこともないくらい美しく、コミック的な表現が多様されている。特に驚いたのは、別次元から現れたスパイダーマン達を絵柄の違いを違和感なく合わせている点だ。
・つるっとしたCGアニメーション
・モノクロアニメ
・トゥーンのコミカルなアニメ
・日本漫画をCGで再現したかのようなアニメ

手塚治虫の様にスターシステムで作者本人がキャラクターを描くならまだしも、描き手も表現も異なるキャラを一同させるためのバランス感覚には舌を巻いた。違っているのに違和感がない。

 

運命という呪縛
冒頭に上げたステップ2、大切な人間を亡くす。これはスパイダーマンでは欠かせない要素ではあるがあまりにも悲しい。
スパイダーマンには必ず死がまとわりついて、どの次元でもそれは免れない。
「運命を受け入れろ。」
それが今回のキャッチコピーになっているが、そこ言葉の中に含まれているものはあまりにも悲しい。