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読書感想など

クエンティタランティーノ監督映画『ヘイトフル・エイト』を見てきました。

クエンティタランティーノ監督の最新作『ヘイトフル・エイト』(原文:the hateful eight)
監督の名前にピンと来なくても20代〜30代にかけての世代は『キルビル』で知っている人が多いでしょう。ツッコミどころ満載でバカバカしくもありますが、あのアクションシーンの数々に衝撃を受けた人も多いとおもいます。
 
今作では今までのクエンティ映画に出演した俳優がキャスティングされています。
有名どころでは「サミュエル・L・ジャクソン」。『スター・ウォーズ』ではジェダイ役。昨年の『キングスマン』ではキャップをかぶり、ジーンズにアディダスを履いたアメリカンなファッションでしたが(それを着こなしているのもすごい)、今回は一転して凄腕の黒人賞金稼ぎを演じる。
その他でも常連組が勢ぞろいしてクエンティオールスター映画とも言えます。
 
あらすじや詳細は公式サイトや関連サイトを見ていただいた方が早いかと思いますが、今作は南北戦争が集結してから数年経った、ある雪山の中で起きる事件が主軸となります。
 
英語版の公式サイトも中々凝っています。
 
事前の情報をあまり仕入れずにいましたが、今ではデジタル撮影が主流な中『70mmフィルム』という前時代の撮影方法を取り入れたそうです。現在でも『インターステラー』など70mmで撮影された作品は多くあるようですが、あまり劇場に足を運ぶことが少ないので今までそれを実感できませんでした。
また驚いたことに上映時間が3時間。長くても2:30が限度の中、3時間は中々の強敵。『トランスフォーマーロストエイジ』はちょっとした苦行だったのでなによりもトイレの心配がまず頭に浮かんでしまう。
 
とは言いつつ、公開前のビジュアルがカッコいいこともあり初日に劇場へ。
あまりCMやテレビでも取り上げられていないせいか、上映数が少ないようにも感じました。
 
映画は広がる青い空とそれに対比するかのような白い雪の中を馬車がかけるシーンから始まる。
このファーストシーンで明らかに他の映画とは質感が異なっていた。デジタル処理ではない空の鮮やかと奥行きの立体感に(思い込みかもしれないが)なぜ70mmが今でも使われているのか理由が少しわかった。
だからなのか、その絵に現在の映画っぽさがなく、リバイバル作品と勘違いを起こしそうになった。
 
ネタバレになるようなことを避けますが、正直話のくだりを知っていても楽しめます。
賞金稼ぎ、賞金首、死刑執行人、メキシコ人、カウボーイ、保安官、将軍などなど。ここまでアクの強いキャラクターが勢ぞろいしているのにかかわらず、誰一人として霞むことがなく衣装の一つ一つや言動を見ているだけで面白い。人を選ぶかとは思うが漫画やアニメが好きな人ならばこの濃密なキャラクター群はかなりオススメ。演技の上手い下手をあまり分からない人間ですが、特に賞金首を演じるゾーイ・ベルさんは凶悪すぎる。
 
一応規制がかかっていものの、もし『キルビル』のような殺陣シーンを期待している人には少々足りないかもしれません。(もしお望みなら同監督の『ジャンゴ』をどうぞ)最近の外連味たっぷりのアクションシーンではないものの、思い切りのいいシーンは観客の心情と重なってスカッとする。
 
あっという間に3時間は過ぎて映画は終了。
一見して無駄なシーンが多そうに見えるが、ミステリー的な要素もあるため自分なりに頭の中で編集してみても意外に落とすシーンが少なかったです。また長いことを苦行とは思いませんでした。
 
パンフレットも購入。ちょっとのスチール写真と映画のシーンのみかと思いきや、映画雑誌の特集以上の熱量と文章量に驚いてしまった。各キャストのコメントから映画作成に至るまでのエピソード。また本作のネタ元になった作品の紹介から舞台になった南北戦争後のアメリカなど、ありとあらゆる知識が詰め込まれ町山知則さんなど有名なライターの方が多く投稿されている。映画に負けないくらいの物量と豪華さに圧倒されてしまう。
 
正直、見た人全員が評価をする映画ではなく、人を選ぶ作品だと思いますが、どの作品でも言えますが趣味趣向が合わない人は全くダメでしょう。ただ私はこれはかなり良い。監督作品のファンやビジュアルで惹きつけられる人は見に行っても後悔はしないと思います。