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読書感想など

【映画】TENET ※内容に深く触れてます

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クリストファー・ノーラン監督作品

CIA特殊部隊として劇場テロから要人を助けた主人公。だが、敵の手に落ち、拷問により口を割られる事よりも自らの死によって秘密を守ることを優先し、自殺用カプセルを口にした。次に目を覚ますと、ある特殊な任務に就くように命を請ける。

世界崩壊を防ぐための任務。第三次世界大戦かと思いきや、それは時間の崩壊を防ぐための任務であった。

 

主人公を演じるにはブラッククラマンズで主演をつとめたジョン・デイビット・ワシントン。彼が演じる「名も無き男」は劇中だれからも名前を聞かれないし、自分から名乗る事も無い。

彼はある施設まで行き、そこで不思議な現象を目の当たりにする。

落ちていた拳銃の弾が宙に浮き、手のひらに戻る。

弾丸の入っていない空の拳銃に、撃ち込んだ弾がひとりでに戻ってくる。

まるで逆再生を見ているかの現象が現実で起こっている。

時間逆行する武器が無数に存在し、それを武器の流通に乗せている人物がいる。

そいつを突き止めるのが主人公のミッションである。

 

 

■時間逆行世界

劇中のある時点で主人公一同は、「時間が前に進む(順行)赤の部屋」と「時間が逆行する青の部屋」を見つける。それにより時間逆行世界に入ることになる。

タイムマシンとは異なり、「1週間前の12時にさかのぼる」事は出来ない。

赤の部屋が12時1秒、2秒、3秒と進むのであれば、青の部屋に入った時点で12時3秒、2秒、1秒と進んだ時間を戻る。鳥は後ろ向きに飛び、食べているものが口から皿へ戻っていく。もし1週間前に戻りたかったら、1週間分時間逆行世界で過ごす必要がある。

(この青の部屋を見ていると、PKDの逆周りの世界を思い出してしまった)

 

時間逆行により、カーチェイスでは突然バックしてくる車に追いかけられたり、事故を起こし逆さまになっていた車がいきなり事故を起こす前に戻ったりと正常では考えられない動きをする。

「なんだコレは!」と驚いているとその種明かしがされるのだが、この再生ボタンと巻き戻しボタンを交互に観ていると感覚がどんどん麻痺ってくる。

 

 

■散りばめられた時間SFあるある

時間SFであるならばなくてはならないシーン。いわば時間SFあるあるが多数散らばっている。あのシーンの裏では、もう一人の自分がいた。謎の人物が助けてくれた。

正直、TENETはややこしいシーンが多いのだが、既存の映画に近しいのは、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「劇場版ドラえもん」。

再生と逆再生が入り交じってミッションを進める中盤~後半は映像や音楽も相まって何が正解で何が間違っているか分からなくなってくる。(主人公は前に進むのに、ほかの人々は後ろ向きに歩いているのがちょっと笑える)

しかし、実は全く新しいというわけではなく上記に記載した既存の映画などでさんざん語られた内容ではある。どこかで見たことあるはずなのに、「こんなのは初めてだ」と思ってしまう。

 

■主人公は誰か

名前の無い男。

終始、彼の動向を見続けており感情を移入してしまうはずなのに、名前がなく、過去も分からない。一番好感を持つはずの主人公が一番の謎の人物であり、それ自体を彼は分かっていない。誰も何も知らない、無知である。

 

その「無知」がひとつのキーワードになっている。

知らないが故の判断、知っていたらたどり着けない境地がある。

それ故に、途中でいくつか違和感やある人物の行動のおかしさを意図的に見せている。

それが解けたときの頭のもやが晴れていく感覚が個人的にとても気持ちが良い。(そのために時間SFを観ていると言っても過言ではない。)

 

 

コロナ渦における劇場再開後初の映画がTENETとなった。

現在の状況下で見に行きにくい人は、是非ディスク化した際には繰り返し観てほしい。

 

 

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