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読書感想など

オススメ!

ドラック博物館へようこそ『アマニタ・パンセリナ』/中島らも

本書は決して薬物のススメではなく実際の体験(!)を交えた反薬物のススメ隣っている。 数々の薬物・合法ドラッグを疑似体験しているかのような感覚に陥り、そして著者が現在進行形で中毒になっている(本書が出版された当時)薬物など未体験ゾーンが広が…

煮え切らない卵の新たな戦い『マルドゥック・アノニマス』

冲方丁さんのマルドゥックシリーズの最新刊。 これまで発売されたマルドゥックシリーズを読んでいないと理解ができない敷居の高い作品ではなく、最新刊で知りましたという人でも手に取ってもらいたい。本書が面白かった、という人はその後で過去シリーズを…

人類にとって個性とは必要なものなのか『クロニスタ 戦争人類学者』/ 柴田勝家

▼そもそもの始まり 第二回ハヤカワSFコンテスト受賞後の第1作となる本作は大きなスタートを切った勢いをそのままに予想を超える面白さがあった。 きっかけとしては『伊藤計劃トリビュート』の1作として本書の一章が掲載された事にある。率直な感想として『ニ…

生命賛歌に満ちた近未来の日本『あるいは修羅の十億年』/古川日出男

古川日出男さんの新刊は『想像ラジオ』『ムーンナイト・ダイバー』『バカラ』などの作品と同じように震災をテーマにした小説『あるいは修羅の十億年』です。 2026年の近未来日本を舞台に “島”と呼ばれる土地と東京、フランスと複数の人間の視点から語られる…

ビッグブラザー豚さん説『動物農場』/ジョージ・オーウェル

ジョージ・オーウェルの『1984』は人間を支配する方法とそれに悩む主人公の心境がリアルスティックに描いたディストピア小説としてメディアで紹介され、引用されることが多い作品です。 私も読んだことがあったのですが、他作品を知りませんでした。作品が…

歩みは遅いが、確実に進む日常。『かめくん』/北野勇作

北野勇作さんの『かめくん』を読みました。 きっかけは北野勇作さんがtwitter上で行っている【ほぼ百字小説】を目にしたことです。 140文字内に収められた描写にSF的な想像力を掻き立てられ、余韻を残します。 https://twitter.com/yuusakukitano http://tog…

夢の不条理感に脳みそがジンジンする。『パプリカ』/筒井康隆

筒井康隆さんの代表とされる作品『時をかける少女』は細田守監督によってアニメ映画されたことで若い世代にも広く知れ渡り知名度が高く、また最近では『旅のラゴス』が書店でプッシュされている。それにつられてかその他の作品も平置きされるようになり、『…

君は過去を遡れたらヒトラーを殺すかい?『デッド・ゾーン』/スティーブン・キング

事故により5年近く昏睡状態のまま意識を失っていた教師ジョン・スミス。 5年間の眠りがジョニーにもたらしたものは、年をとった両親、母になったかつての恋人セーラ、莫大な入院費用。そして運命とも呪いとも言える能力が彼に備わっていた。 ▼5年間のブラン…

ジャケ買いしてもいいんだよ『私は存在が空気』/中田永一

「百瀬、こっちを向いて」や「くちびるに歌を」の中田永一とカバーイラストを浅野いにおが手がけた超能力+青春短編集。 短編によって能力もキャラクターも変わり、話同士の連続性はないものの単体としてどれも面白みがある。恋愛、暴力、犯罪、コミカル、ハ…

静かに心に染み込んでくる物語『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

アカ、アオ、クロ、シロ。それぞれの名前に色を持つ四人と本作の主人公「多崎つくる」の5人は高校時代の親友グループだった。しかしある日を境に多崎つくる四人から縁を切られてしまう。そして月日は過ぎ去り、30を半ばに差し掛かった多崎つくるは「沙羅」と…

あなたは世界が終わるまでの七日間で何をする?『世界の終わりの七日間』/ベン H ウィンタース

終わっていく世界 10月3日水曜日、地球に小惑星2011GV通称”マイヤ”が衝突をする。それによって予想される未来は恐竜が歩んだ歴史と同じだ。それを知った人々はSNSでイイねやシェアをしていた。だがそれが現実のものになってくると、長年温めていた「やりた…

変貌する獣は何を思うか『犬の心臓』/ミハイル・ブルガーコフ

ミハイル・ブルガーコフの『犬の心臓』が新潮文庫から発売されました。(正確には「運命の卵」も収録)ホードカバー版とは翻訳者が変わってしまったのでもしかしたらニュアンスが違うかもしれませんが「笑い」と「恐ろしさ」が入り混じった作品でした。 ロ…

肉を掘り下げて世界を知る『世界屠畜紀行』/内澤 旬子

牛、羊、山羊、犬と世界中で食べられている肉はどのように作られているのか?「そりゃ殺してバラして加工しているだけだと」と言葉で言うだけなら簡単だ。だが現実は国によって文化や宗教、肉を食べることに対しての受け答え方も違う。また屠畜を職業として…

恋愛小説苦手のススメ『海の見える街』/畑野智美

「恋愛小説ってなんか苦手だ」漠然とずっと恋愛ものに苦手意識がありました。 ミステリーの中の恋愛やアクションの中の恋愛など、別のジャンル内に内包されている恋愛劇ならば読む事は出来るのですが、純粋な恋愛小説は読む機会はありませんでした。とくに、…

何度も読み返したくなる本10選

ツイッターやブログで「#本棚の10冊で自分を表現する」が話題になり、幾つかブログを拝見して読みたいリストに追加した。それからすっかり時期がズレてしまったが「自分ならどの本だろう」と本棚や今まで読んできた本を振り返ってみた。 ただ「自分を表現す…

男たちの興亡史『電気は誰のものか』/田中聡

きっかけ 電灯をつけて、パソコンを立ち上げて、今まさにこの文章を書いている。どちらも電気がないと使うことができない。その電気は東京電力と契約をして毎月使った分だけ支払っている。それは生まれた頃から当たり前のことで何一つ疑問にも思わなかった。…

カラスが囁く物語『海辺のカフカ』/村上春樹

あらすじ 15歳の少年、田村カフカは父の部屋から金のライター・折り畳み式ナイフ・ポケットライト・サングラス・姉と自分の写っている写真を持ち出して家出をした。カラスと呼ばれる少年が話しかけてくる。「世界でいちばんタフな15歳になるんだ」その意味も…

心臓で語れ!『氷』/ウラジーミル・ソローキン

あらすじ 現代のモスクワで「兄弟団」と呼ばれる団体が存在した。彼らは拉致した人間の胸をハンマー殴打して仲間を探し回っていた。ハンマーの殴打で生き残った人々の心臓は<真の名前>を語り始め「兄弟団」受け入れられる… 冒頭からフルスロットル あらす…

手軽に簡単に人格を書き換えよう『重力が衰えるとき』/ジョージ・アレック・エフィンジャー

あらすじ 主人公のマリードはブーダイーンを知り尽くした探偵。ある日ロシア人から人探しを頼まれるが、その場でジェームスボンドのモジュールをつけた人物に殺されてしまう。それを機にマリードの友人や関わった人間が次々に殺されて行く。殺されるパターン…

「少し不思議」な短編集。『たんぽぽ娘』/ロバート・F・ヤング

たんぽぽ娘 (河出文庫) 作者: ロバート・F・ヤング,伊藤典夫 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2015/01/07 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る ロバート・F・ヤング自体初めてだったのですが、題名にもなっている代表作『たんぽぽ娘』…

仮想現実空間の迷宮へ『明日と明日』/トマス・スウェターリッチ

明日と明日 (ハヤカワ文庫SF) 作者: トマススウェターリッチ 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2015/08/31 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る あらすじ テロによってピッツバーグが<終末>を迎えてから10年。仮想現実空間上の街<アーカイヴ…

次世代のSF作家が残した哀惜の塊『伊藤計劃トリビュート』

伊藤計劃トリビュート (ハヤカワ文庫JA) 作者: 王城夕紀,柴田勝家,仁木稔,長谷敏司,伴名練,藤井太洋,伏見完,吉上亮,早川書房編集部 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2015/08/21 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る この本の話を聞いた時にはあま…

失われたものを取り戻す物語『ねじまき鳥クロニクル』/村上春樹

ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫) 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1997/09/30 メディア: 文庫 購入: 11人 クリック: 149回 この商品を含むブログ (508件) を見る あらすじ 仕事を辞めた岡田トオルは妻のクミコとと…

好きな本を語れ!!『翼を持つ少女 BISビブリオバトル部』/山本弘

翼を持つ少女 BISビブリオバトル部 作者: 山本弘 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2014/12/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る 自分の趣味趣向を優先して本を読んでいると違うジャンルの本に手が伸びない。自分の知らないジャンル…

ジャンル入り乱れる短編集『雪山の白い虎」/デイヴィット・ゴードン

雪山の白い虎 作者: デイヴィッド・ゴードン,青木千鶴 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2014/12/19 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 本の内容や作者よりも表紙のデザインに目を奪われた。灰色が混じった薄い水色の雪山に白、灰、青の虎が何…

絶望から再生へ至る道『青春三部作』+『ダンス・ダンス・ダンス』/村上春樹 (ネタバレ含)

個人的解釈 村上春樹のデビュー作「風の歌を聴け」から始まり「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」までの初期三部作は語り手である<僕>と友人の<鼠>の物語であり、『青春三部作』とも言われている。そして『青春三部作』後の「ダンス・ダンス・ダン…

映画:マッドマックス

徹底された世界観とそれを映像にしても違和感がない、隅々まで設定された衣装、小道具、人物設定、映像技術。一人一人がどの様な人生を送ってきたのかどんな性格なのか見ただけで分かってしまう説得力がある。 久しぶりに文句のつけようのない映画だった。し…

悪魔を讃えよ!!!「巨匠とマルガリータ」

巨匠とマルガリータ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-5) 著:ミハイル・A・ブルガーコフ 究極の奇想小説と銘打ってる本書。 悪魔の出てくる小説と聞いて、安直に悪魔に対抗する組織を描くアクション小説なんだろうな、と思い受けべ読み始めたら自分の範疇…

孤独な戦い『地上最後の刑事』/ベン H ウィンタース

地上最後の刑事 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 著:ベン H ウィンタース ファストフード店のトイレで死体で発見された男性は、未来を悲観して自殺したのだと思われた。半年後、小惑星が地球に衝突して人類は壊滅すると予測されているのだ。しかし新人刑事…

本物と偽物の差は?『アンドロイドは電気羊の夢を見るか? 』/フィリップ・K・ディック

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229)) 長く続いた戦争のため、放射能灰に汚染され廃墟と化した地球。生き残ったものの中には異星に安住の地を求めるものも多い。そのため異星での植民計画が重要視されるが、過酷で危険を伴う労働は、…

歴史の影で暗躍する超人たち『完璧な夏の日』/ラヴィ・ティドハー

1932年、突如として世界各地に現われた異能力者たち。ユーバーメンシュ――超人ともヒーローとも呼ばれる彼らは、第二次世界大戦を前に各国の情報機関や軍に徴集され、それぞれの能力を駆使して死闘を繰りひろげた。そして現在。戦時中にイギリスの情報機関に…